設立から僅か2年で終わってしまったレーベル。
その名はネオン・レコード。
プログレや実験的な音楽のアルバムをリリース
していましたが、その数は僅か11枚のみだった
という短命なレーベル、ネオン。
その11枚の中に含まれているのがこのトントン・マク
ートが71年にたった1枚だけ残した「トントン・マク
ートの不思議な世界」。
今作は当時のオリジナルメンバーが再集結し、現代
の機材と新解釈による新録盤と、オリジナル盤のリ
マスターによる2枚組アルバムという体。
そして全アルバム中半数以上を手掛けたキーフによ
る印象的なジャケも目を引きますね。
以前から興味はあったものの、漸くこうして音源に
触れる機会に恵まれました。
音の方は69年以降、一気に拡散していったロックと
いうジャンルがあれこれと試行していた過渡期の音。
ポップスにR&B、果てはジャズやクラシックまで貪
欲に飲み込んだと聞くと、ともすればドタバタと取
っ散らかったイメージを持ちますが、このバンドは
きちんと整えた穏やか且つ、落ち着きのある音を聴
かせてくれたのが意外と言えば意外です。
俺が思い浮かべるジャズロックというと手数の多い
ドラムによるヘヴィ且つスピーディーな曲を連想し
がちなものですから。(コラシアムやアルティとか
あのへんの音を想像していただければ)
曲の方はフルートをはじめとした木管楽器が主とな
り、グイグイと曲をリードしていきます。
また、即興演奏を思わせる熱いインストパートを聴
いているとジャズロックというよりは、これはもう
まんまジャズなのでは?と、錯覚してしまいそうな
点もちらほらと。
しかし、長年の希望であった音源にこうして触れる
ことができただけでも嬉しさがこみ上げてきます。
ある程度聴き込んだ後、新録盤の方も聴いてみたい
と思います。
それでは。