穏やかなる日々

日々の徒然。ゲームだったりクラシックロックやメタルだったり。

愚者の楽園

降雪は昨年に比べればそんなでもないんですけど、
冷え込みの方が深刻な昨今です。
2月中の朝夕は軒並み氷点下というこの辺では
珍しいぐらいの冷え込みなのでした。



さて、クラフトワークの日本公演に向けて周囲も俄かに
盛り上がってきた此の頃。
今日はこれを聴いています。
81年に発表された「COMPUTER WORLD」です。



自分とクラフトワークの出会いはこのアルバムの曲が初めてでした。
当時、よく遊びに行っていた小学生の同級生宅の兄貴がたまたま聴いていた
NHK-FMにてこのアルバムの紹介をしており、ラジオの小さなスピーカーから
流れる曲達の放つ異質な輝きに、頭を殴られたような物凄いショックを受けたのです。



当時、テクノのテの字も知らない鼻タレ坊主の自分が聴いたことのある
テクノらしいものといえば、あのYMOのみ。
その程度の耳ですから彼等の曲を初めて耳にした時の衝撃と言ったらもう。
クラフトワークの存在といっても当時のジャンプで連載していた
「すすめ!パーレーツ」にて、アルバム「人間解体」のジャケットを
模した物が掲載されていたと姉から聞いて、「ふーん」程度にしか
認識していませんでしたし。



そして、その遊びに行っていた友人兄からこれがクラフトワーク
最新アルバムの曲だと告げられ、小学生の頭の中がそれに支配されるまでには
たいした時間を要しませんでした。
とにかく、彼等のあの曲が聴いてみたい。
特にラジオで流れていた妙な日本語で歌われていたあの曲、「電卓」を。



その後、姉の友人が入手したというこのアルバムをカセットにダビングしてもらい
中学卒業する頃までそれこそ毎日垂れ流しで聴き込んでいたのです。
そのLPは2曲目に「POCKET CALCULATOR」の代わりに「電卓」が収録されていました。
(電卓はPOCKET CALCULATORの日本語バージョン)
この97年発売の国内盤では、オビに世界初CD音源化などの叩き文句も見えます。



現在流通しているリマスター盤は、オリジナルに準拠したものなので
この愛おしい「電卓」が収録されていないのが残念なところです。



そんなわけで、アルバムの楽曲ですが、あくまで小学生時の耳で聴いた印象ですと
YMOと比べて随分とシンプルでさっぱりとした曲だなあというのが最初の印象。
リズムは複雑ですが音の装飾が少なく全体的にソリッドに感じます。
しかし、「COMPUTER LOVE」などではシンプルながらもしっかりとした
メロディーを主張するところが好印象です。
なんでもこのメロディーはシンセによるものではなく、おもちゃのキーボード
によるものだったとかいうところも洒落が効いてて、なんとも彼等らしい。



「NUMBERS」などは単に数字をボコーダーで喋らせてみたかっただけなんじゃ
ないかと勘ぐりたくなるほどで。(単に数字を数えているだけなので)
それら諸々を包括した反復するチープなマシンリズムに身を委ねれば、
即、あっち側に連れ去ってくれるそんな素敵なアルバム。



クラフトワークのアルバムでは決して上位に入るアルバムではありませんが
自分にとっては初めてまともに聴いた彼等のアルバムだけに、思い入れも
またひとしおなのです。



「ボクハ オンガッカ デンタク カタテニ・・・」



それでは。