穏やかなる日々

日々の徒然。ゲームだったりクラシックロックやメタルだったり。

新興宗教オレ教

天候も回復して今日も快晴。
何か春からいきなりすっ飛ばして初夏に突入したような陽気ですけど。



今日はこれを。
イギリス出身のグループ、ウォルラスが1970年に発表した唯一のアルバム。
タイトルも同じく「WALRUS」です。



様々なジャンルのロックが賑やかなりし70年、 彼等もその渦中にデビューしました。
メンバーに管楽器奏者を擁しロックの持つダイナミックさにブラスの醸し出す繊細さや
果てはジャズ的な解釈まで加え、その貪欲さはジャンルというジャンルを端から
飲み込むかのような勢いです。
基本はブルーズベースのブラスロックですが、そこに時折顔を見せる
アコースティック楽器の細やかなアレンジを交えつつ、他バンドとの違いは
R&B一辺倒にならずアコースティックな要素を交え、縦横無尽にその楽曲の
裾野を広げる多彩さにあるように感じます。



おそらく、当時のレーベルの「この手のジャンルが流行ってきたし、
とりあえずこれも出しとくか」みたいな気まぐれから声がかかり作られた
1枚かもしれませんが、その内容は恐ろしく高密度且つ、野心的な1枚。
舐めてかかると大火傷必至な完成度です。



ドロッドロにブルージーな味わいの1曲目「Who Can I Trust ?」に続く2曲目
「Rags and Old Iron/Blind Man/Roadside」の三部作構成の10分オーバーの長尺曲は、
その実験的試みをふんだんに発揮し、非常に作りこまれた1曲。
後のハードロックにも繋がるアプローチなんかも見え隠れしています。
他にも味わい深い曲が多く、気付けば繰り返し視聴している自分がいます。



ブルーズ、サイケ、ジャズ、プログレ・・・1枚のアルバムで
こんなに多彩な要素を楽しめるなんて、随分と贅沢な気がするこのアルバム。
ロックという範疇において実験的精神が遺憾なく発揮できた当時の時代性故に生み出された
出るべくして出た1枚なのかもしれません。



それでは。